Look at me! 私を見て! ヌードのポートレイト 東京都写真美術館 『カメラワーク』のこと

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 この写真展は東京都写真美術館が所蔵するコレクションからの展示である。写真にとってポートレイトとは何かというテーマで3部構成されたうちの第2部にあたり、第1部は『侍と私』、第3部は『20世紀の人間像』と題し10月9日から開催される(このタイトル付けのセンスはいったいどうなっているのかという話はとりあえずおいておく)。

 比較的小粒な展示会でヌード写真の歴史を様々な角度でみられるかと期待すると若干迫力不足に感じられるだろう。もちろん収穫はいろいろあった。その中でも写真史上もっとも重要とされる写真雑誌『カメラワーク』の実物を見ることができたのはちょっと嬉しかった。和紙のような紙にフォトグラヴェール、ゴム印画といった手法を駆使した非常に美しい仕上がりになっている。ゴム印画法はピクトリアリスム写真を表現するために大変重要な制作技法だった。美しい陰影とやわらかい粒子が作品を優美なものにしている。僕は一枚の写真により『カメラワーク』という言葉がインプットされた。創刊号に掲載されたゲルトルーデ・ケーゼピアによる女性(Miss.N:Evelyn Nesbit)の肖像写真だ。黒髪に虚ろなまなざし、両肩の出たドレスを着ているがその丸みが艶かしい。
http://en.wikipedia.org/wiki/Evelyn_Nesbit
僕が見たものはもっと紙質と粒子を活かした陰影の深いもので上記のものとは随分印象が違っていたはずだ。

 『カメラワーク』は近代写真の父アルフレッド・スティーグリッツ(米)が中心となって1903年に発刊した本格的な写真雑誌だ。スティーグリッツは前年の1902年に写真分離派(フォト・セセッション)を結成、1905年にはニューヨーク5番街291番地に「写真分離派の小ギャラリー」を開くなど積極的にピクトリアリスムを牽引した。スティーグリッツのおもしろいところは、写真の絵画主義的な表現の普及をおこなうと同時に写真の持つリアリティをそのまま表現することにも力を注ぎストレートプリントによる作品作りへと移行し自ら近代写真への道筋を作っていったことだ。

 写真分離派の小ギャラリー(その地名から291ギャラリーとよばれる)は写真の展示だけにとどまらず、ピカソやマチスなどヨーロッパにおける現代美術を紹介したり、アメリカの若い芸術家たちの発表の場としても機能していた。そしてこのころスティーグリッツは女流画家ジョージア・オキーフと出会い、ギャラリーで彼女の作品を展示、ついには結婚することになる。

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