1909年5月18日のパリ ~ バレエ・リュス シャトレ座公演 ~

 ちょうど100年前の1909(明治42)年5月、パリ・シャトレ座での出来事はバレエ界のみならずその後の芸術運動にとって大きな影響を与えた。ディアギレフひきいるバレエ・リュス(ロシアバレエ団)の『ロシア・シーズン』と題した催しは、衰退していた欧州バレエの復興のきっかけともなった。革新的に進歩したバレエ・リュスのエキゾティシズムと野生美あふれるバレエにフランス人は目を見張り熱狂した。

 ダンサーたちはマリーインスキイ劇場バレエ団の選りすぐりで、ヴァスラフ・ニジンスキー、ミハイル・フォーキン、アンナ・パヴロヴァ、タマラ・カルサーヴィナといった当代の踊り手たちで構成されておりその水準の高さがうかがえる。画期的だったのはニジンスキーをはじめ男性ダンサーがスターとして受け入れられたことである。女性の媚態を男が見るという状況にあったフランスバレエにおいて当初もっとも評判をとったのは男性舞踏手による『ポロヴェツ人の踊り』であった。その後20年間バレエ・リュスは歴史上最も重要なバレエ団として君臨することになる。

 ディアギレフは同時代の才能をその求心力をもって糾合し革新的な手法でバレエを総合芸術として高めていった。音楽におけるストラヴィンスキー、ドビュッシー、サティ、リヒャルト・シュトラウス、ラヴェル、美術におけるバクスト、ピカソ、マティス、ローランサン、ユトリロ、エルンスト、ミロ、デ・キリコ、シャネルなどキラ星の才能を起用し、イラスト、デザイン、現代芸術に影響しモダニズムと共鳴した。

 あれから100年、バレエ興行は今日も盛況のようだ。しかし現代バレエにおける最重要人物ベジャールもこの世を去り、時代はまた新たな変化を求めているようにも思える。それとも安定・停滞の時期なのか……世の中の嗜好も多様化し、昔のように文学、音楽、絵画、舞踏などそれぞれの芸術が影響しあえる状況ではないのかもしれない。これから先バレエ・リュスのような存在が生まれることはあるのだろうか。(ライカIII/写真は掲載内容とは特に関係ありません/パリ・モンマルトル)

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